「美容室の面貸しって何?」「どんなメリットがあるの?」と思っていませんか。
美容師の面貸しとは、美容室の一部スペースを借りて、お客様に施術を行うことです。
最近では、自由な働き方を求める美容師や、空きスペースを有効活用したいオーナーの間で注目が集まっています。
この記事では、面貸しの仕組みやメリット・デメリット、さらにシェアサロンや業務委託との違いについてもわかりやすく紹介します。
美容師目線とオーナー目線の両方から解説するので、ぜひ参考にしてください。
面貸しとは?
美容室の面貸しとは、美容室の空いた時間や使っていないスペースを借りて、美容師が自分のお客様に施術を行う働き方のことです。
面貸しを利用する美容師は、いわゆるフリーランスとして活動している人が多く、自由な働き方ができる点が特徴です。
イメージとしては、飲食店で「間借りカレー屋」がランチタイムだけ営業するような形に近いです。
オーナーは自分の店舗を使っていない時間を有効活用でき、美容師は独立に近い形で施術を行えます。
支払い・売上について
面貸しの場合、美容師は美容室に対して「レンタル料」を支払います。
金額は場所や設備によって異なりますが、東京では1時間あたり2,000円前後が相場です。
契約によっては「売上の30〜50%をオーナーに支払う」という歩合制の場合もあります。
水道光熱費などはレンタル料に含まれることが多いですが、薬剤を使用する場合は別途料金が発生するケースもあります。
逆に、薬剤費込みで利用できる美容室もあります。
美容師は、お客様からの支払いがすべて自分の売上になるため、固定客や指名が多い人ほど収入を得やすい仕組みです。
オーナーは、営業時間外や予約が空いている時間を活用できるため、店舗の稼働率を上げながら安定した副収入を得られます。
シェアサロンとの違い
面貸しと似ていますが、シェアサロンは少し仕組みが異なります。
シェアサロンは、複数のフリーランス美容師がそれぞれの席をレンタルして利用する美容室です、
最初から貸すことを前提に運営されており、すべての席がフリーの美容師によって使われることが一般的です。
業務委託契約との違い
業務委託契約は、美容室に所属しながら働く美容師の契約形態の一つです。
- 業務委託:美容室に所属、給料は成果報酬型
- 面貸し:フリーランスでスペースだけ借りる
面貸しのように場所を借りるわけではなく、美容室の一員としてお客様を担当します。
業務委託の美容師は、正社員よりも歩合率が高い分、収入は成果次第で大きく変動します。
ただし、有給休暇や社会保険などの福利厚生がない場合が多いのが特徴です。
美容師から見た面貸しのメリット

ここからは美容師から見た面貸しのメリットを紹介します。
- リスクが低い
- 働く時間を調整できる
- 人間関係で悩みがなくなる
- 自由に施術できる
リスクが低い
一般的に美容室を開業するには、店舗の賃貸や内装、スタッフ採用、広告費などを含めて1,000万円ほどの資金が必要といわれています。
面貸しは、すでにある美容室の一部を借りるだけなので、こうした初期費用がほぼかかりません。
もしお客様が少なくても大きな損失にはならず、リスクを抑えて独立に近い働き方を試せます。
将来的に自分の店舗を持ちたい人のステップとしてもオススメです。
働く時間を調整できる
面貸しでは、美容室との契約時間を自由に決められるため、自分のライフスタイルに合わせて働けます。
例えば午前中だけ利用したり、予約が入った時間だけ美容室に行くなど、柔軟な働き方が可能です。
お客様の都合に合わせやすく、待ち時間も少ないため、効率よく働きたい人にはピッタリの仕組みです。
人間関係で悩みがなくなる
美容室で働いていると、スタッフ同士の人間関係や職場内のトラブルに悩むことも少なくありません。
面貸しの場合は基本的に一人で働くスタイルのため、上下関係や人間関係のストレスがほとんどなく、自分のペースで仕事に集中できます。
自由に施術できる
面貸しでは、美容室のルールやメニューに縛られず、自分のやり方でお客様に施術できます。
カウンセリングや接客スタイルを自分で決められるため、より理想的なサービスを提供できます。
所属している美容室の方針と自分の考えにギャップを感じている人ほど、面貸しの自由度を実感しやすいでしょう。
美容師から見た面貸しのデメリット
ここからは、美容師から見た面貸しのデメリットを紹介します。
- 収入が不安定
- 集客を自分でしなければいけない
- トラブル対処の責任も自分になる
収入が不安定
面貸しでは、美容室に所属している正社員のように固定給があるわけではなく、自分が担当したお客様の施術分だけが収入になります。
お客様が多ければ収入も増えますが、集客がうまくいかなければ収入は下がってしまいます。
安定性は低いものの、反対に上限がないため、努力次第で高収入を目指せるというメリットの裏返しでもあります。
集客を自分でしなければいけない
美容室に所属していれば、お店の広告やSNS経由で新規のお客様が来店します。
しかし、面貸しでは自分で集客しなければいけません。
すでに固定客がついている人なら大丈夫ですが、そうでない場合は、SNSでの発信や口コミづくりなど、自分の力で集客を工夫する必要があります。
トラブル対処の責任も自分になる
面貸しでは、お客様とのトラブルが発生した場合の対応もすべて自分の責任になります。
美容室に所属していれば店長やオーナーがサポートしてくれることもありますが、面貸しでは基本的に一人で判断し、対応しなければなりません。
施術トラブルやクレームなどに備えて、誠実な対応力や事前の説明力も求められます。
ただし、普段から現場でお客様対応に慣れている美容師であれば、大きな負担には感じにくい部分でもあります。
オーナーから見た面貸しのメリット

ここからは、オーナーから見た面貸しのメリットを紹介します。
- 収入が増える
- 集客効果がある
- 人件費を払う必要がない
収入が増える
美容室を運営していると、お客様がいないアイドルタイムや、営業していない時間帯がどうしても発生します。
しかし、家賃や光熱費といった固定費は常にかかっているため、その時間を活かせないのはもったいないですよね。
面貸しすれば、空いた時間やスペースを有効活用して、収入につなげることができます。
契約して貸すだけなので、実際の施術に関わる必要がなく、手間が少ないのも大きな魅力です。
集客効果がある
面貸しを行うことで、契約している美容師が自分のお客様を美容室に呼び込みます。
その結果、来店したお客様が口コミを投稿したり、友人に紹介したりすることで、美容室全体の知名度アップや新規集客につながる可能性があります。
自分だけで集客するよりも、面貸し美容師の集客力がプラスに働く点は大きなメリットです。
人件費を払う必要がない
人手不足や営業時間の確保に悩む美容室でも、面貸しを活用すればスタッフを新たに雇う必要がありません。
人件費や採用コストをかけずに、面貸し契約を通じて美容室を稼働できます。
例えば夜だけ貸す、月曜日だけ貸すといった形でも柔軟に対応できるため、効率よく店舗を活用したいオーナーにとっても魅力的な仕組みです。
オーナーから見た面貸しのデメリット
ここからは、オーナーから見た面貸しのデメリットを紹介します。
- 収入が不安定
- 集客を自分でしなければいけない
- トラブル対処の責任も自分になる
テナントの許可が必要になる
自分がテナント契約で美容室を借りている場合、他の美容師にスペースを貸すことは「又貸し」にあたるため、必ず物件のオーナーや管理会社の許可を得る必要があります。
黙って面貸しを行い、家賃収入やレンタル料を得ていると、契約違反とみなされる可能性もあるので注意が必要です。
面貸しを始める前には、必ず契約内容を確認して、書面で許可を取っておきましょう。
契約手続き・書類準備が複雑
面貸しは、従業員を雇うのではなく、フリーランスの美容師と個人契約を結ぶ形になります。
そのため、雇用契約とは異なる契約書の準備や、収益の取り扱いなどを明確にしておく必要があります。
契約内容によっては、トラブル防止のために弁護士など専門家への相談をしておきましょう。
美容師に業務的な指示が出せない
面貸しで契約する美容師は、あくまで個人事業主であり、従業員ではありません。
そのため、営業方針や施術内容、接客スタイルなどに関して、オーナー側から業務的な指示を出すことはできません。
店舗の雰囲気やブランドイメージを守りたい場合は、契約前にあらかじめ方針を共有しておくことが大切です。
美容師とお客様のトラブルが発生するリスク
面貸しを行う美容師とお客様の間でトラブルが発生した場合、直接の責任はその美容師にあります。
しかし、施術場所が美容室である以上、口コミや評判が美容室全体に影響する可能性があります。
トラブルを防ぐためには、契約時に責任範囲を明確にし、信頼できる美容師と契約することが重要です。
面貸しがオススメな人とは?

ここからは美容師とオーナーのそれぞれで、面貸しがオススメな人の特徴を紹介します。
美容師
面貸しは、すでにある程度の固定客がついていて、一人でお客様対応ができる美容師に向いています。
予約や施術、会計までを自分で管理するため「将来的には自分の店を持ちたい」と思っている人にピッタリです。
SNSや口コミなどの発信活動が得意な人であれば、さらにお客様を増やしやすく、面貸しをうまく活用して安定した収入を得ることも可能です。
オーナー
美容室の空いている時間を有効活用したい、もしくはスタッフを増やす余裕がないと感じているオーナーには、面貸しが向いています。
新しい従業員を雇わずに美容室を稼働させられるため、人件費を抑えつつ収益アップを狙えるのが魅力です。
特に、営業時間外や予約が少ない時間帯を有効に使いたいと考えているオーナーにとっては、無理のない形で店舗運営を効率化できる方法といえます。
面貸しの注意点
ここからは、面貸しの注意点を紹介します。
- 必ず契約書を交わす
- 禁止事項を決める
必ず契約書を交わす
面貸しを始める際は、口約束ではなく必ず契約書を交わしましょう。
書面がないと、トラブルが起きたときに責任の所在があいまいになり、解決が難しくなってしまいます。
契約書には「お客様からのクレーム対応は借り手が行う」「美容室側はトラブルに関与しない」など、責任範囲を明確にしておくことが大切です。
また、美容室の設備や備品の取り扱いルールも記載しておくと安心です。こうした事前の取り決めによって、双方にとって安心して面貸しを続けられる環境を作れます。
禁止事項を決める
契約時には「やってはいけないこと」を明確に決めておくことも重要です。
契約書に記載がなければ、後から注意しても法的に効力を持たないため、トラブル防止のためにも事前に取り決めましょう。
例えば、SNS投稿に関するルールでは「お客様の写真を無断でアップしない」「他のお客様が映り込まないようにする」などを明記します。
投稿自体を禁止するのではなく、必要に応じて「同意書をカルテと一緒に用意し、掲載許可をもらう」といった運用ルールを整えるのが理想です。
あらかじめ禁止事項や対応方法を決めておけば、トラブルが発生しても美容室側の責任にはなりにくく、安心して運営できます。
まとめ
今回は、美容室の面貸しについて紹介しました。
面貸しは、美容師にとってはリスクを抑えて自由に働ける方法であり、オーナーにとっては空いた時間やスペースを有効活用できる仕組みです。
契約内容や責任の範囲をしっかり決めておけば、双方にとってメリットの大きい関係を築けます。
一方で、収入の不安定さや契約上の手間など、注意すべきポイントもあります。
契約書や禁止事項を明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
面貸しを検討している美容師やオーナーの方は、自分の働き方や店舗の状況に合わせて、無理のない形で導入してみてください。

