「うちの美容室、技術には自信があるのにリピートが伸びない」「スタッフの接客がバラバラで、クレームが入ることもある」と感じたことはないでしょうか。
実は美容室の売上は、技術だけでなく接客の質に大きく左右されます。
この記事では、リピートにつながる接客の基本フローから、苦手意識を持つスタッフが多いアップセル提案のコツまで、現場で使える内容を詳しく解説します。
美容室の接客はリピート率に影響する
2021年の「美容室利用についての意識調査」によると、リピートしたくない美容室の特徴として「接客態度が悪い」が全体の22%を占めています。
つまり、5人に1人以上が技術ではなく接客を理由に離れているということです。
また、新規客が90日以内に再来店するリピート率は業界平均で約30%とされています。新規100人が来店しても、3ヶ月以内に戻ってくるのはおよそ30人という水準です。
この数字をいかに上げるかが、安定した売上をつくる鍵になります。
技術が同じ美容室でも、「また来たい」と思われるかどうかは接客次第です。顧客が選ぶ理由の第1位は「技術のよさ」ですが、接客の良し悪しは技術の印象にも影響します。
丁寧な対応は技術の信頼感を高め、雑な対応は技術への不満につながることもあるのです。
美容室の接客の基本フロー

美容室の接客は、入店から退店まで一連の流れがあります。それぞれの場面で押さえるべきポイントは4つあります。ここからはそれぞれ詳しく解説します。
- 入店時の挨拶・お出迎え
- カウンセリング(ヒアリング)
- 施術中のコミュニケーション
- 会計・お見送り
①入店時の挨拶・お出迎え
お客様が入店した瞬間の第一印象は、その日の施術全体の印象を左右します。手が離せない場合でも「いらっしゃいませ、少々お待ちください」と声をかけることが大切です。
名前を確認したうえでお席に案内し、コートや荷物を預かるなど、一つひとつの所作が「この美容室は気が利く」という印象につながります。
②カウンセリング(ヒアリング)
施術前のカウンセリングは、満足度に直結する最も重要なステップです。
「今日はどのようにしますか?」という一言だけで終わらせず、「前回からどのくらい経ちますか?」「気になっている部分はありますか?」など、具体的な質問でお客様の悩みや希望を引き出しましょう。
髪の状態・アレルギー・ライフスタイルなどの情報は、次回以降の接客にも活かせるため、記録しておくことが重要です。

③施術中のコミュニケーション
施術中は、一方的に話し続けるのも、無言でいるのも避けましょう。お客様のペースに合わせながら、季節の話題や髪のケア方法など、自然な会話を心がけます。
鏡越しの表情を見ながら「今の長さはいかがですか?」など途中確認を入れることで、仕上がりへの不安も解消できます。
④会計・お見送り
会計時は金額を明確に伝え、施術内容を簡単に振り返るひと言を添えると印象が残ります。
「次回はカラーの時期かと思うので、またご来店お待ちしています」など、次回来店をさりげなく促す声かけも効果的です。
お見送りの際はお客様が見えなくなるまで姿勢を保つことが、最後の印象を決めます。
リピートにつながるカウンセリングのコツ

リピートしてもらうためには、毎回のカウンセリングを「形だけ」で終わらせないことが重要です。
前回の施術内容・お客様の好み・悩みをしっかり把握し、「前回のカラーはどうでしたか?」「今日はイメージを変えてみたいですか?」と続けて聞くことで、お客様は「ちゃんと覚えてくれている」と感じ、信頼感につながります。
ただし、スタッフが変わるたびに情報が引き継がれていなければ、この積み上げは崩れてしまいます。
顧客情報をスタッフ全員で共有できる仕組みを整えることで、担当が変わっても一貫した接客が可能になり、「誰が担当しても安心」という信頼がリピートにつながります。
苦手意識を持ちやすいアップセル提案のコツ

メニューのアップセル(トリートメント・ヘッドスパ・カラーのグレードアップなど)は、売上向上に効果的な一方、「押し売りになりそうで言い出せない」と苦手意識を持つスタッフが多い場面のひとつです。
コツは、いきなり提案するのではなく、施術の流れの中でジャブを打ちながら反応を見ることです。
例えば、シャンプー中に「最近、髪のパサつきが気になっていませんか?」「毛先のダメージ、前回より少し進んでいますね」と自然に触れます。
そこでお客様が「そうなんです」「気になっていて…」と反応を示したタイミングで初めて、「今日はトリートメントも一緒にどうですか?」と提案につなげます。
この流れを踏むことで、提案が唐突にならず、お客様自身が「言われてみればそうかも」と感じた状態になってから話を進められます。
断られる確率が下がり、スタッフ側の心理的ハードルも大きく下がります。
提案は押し売りではなく、お客様の悩みへの解決策として伝えることが大切です。
接客力を上げるスタッフ教育の方法
接客の質を底上げするには、個人の感覚に頼らず仕組みをつくることが重要です。
新人スタッフが一人でカウンセリングに臨む前に、先輩との1対1のロールプレイで声かけの練習を重ねることで、現場でも自然に動けるようになります。
また、接客チェックリストをつくり、定期的にフィードバックを行う体制を整えると、スタッフ間のばらつきが減ります。
顧客情報の共有も接客力の底上げに直結します。お客様の情報を蓄積・共有する仕組みがあれば、新人スタッフでも一定水準のカウンセリングができるようになります。
「前回○○されていましたが、今回はいかがですか?」という一言が言えるかどうかで、お客様の印象は大きく変わります。
接客メモを残すなら電子カルテがおすすめ
接客の質を安定させるうえで欠かせないのが、お客様一人ひとりの情報を記録しておくことです。
前回のカラーの配合・希望のスタイル・会話で出た好みや悩み・アレルギーの有無など、接客メモとして残しておくべき情報はたくさんあります。
しかし、紙のカルテや個人の記憶に頼っていると、担当が変わった途端に引き継がれず、せっかくの情報が活かせません。
接客メモを残すなら、紙のカルテではなく電子カルテがおすすめです。なぜなら、電子カルテならスマートフォンやPCなどのデバイスから簡単にメモを残せるからです。
カルテを探す手間もかからず、別のスタッフが対応する場合でも情報がすぐに共有されるため、引き継ぎもスムーズです。
担当が変わっても一貫した接客ができるので、リピートにつながる関係づくりに役立ちます。
電子カルテで接客の質を高めた事例|ECLART

実際に電子カルテを接客に活かしているのが、美容室「ECLART」です。
同店では、POSシステム「Salon de Net」と電子カルテ「VCA Wallet」を使って顧客情報を管理しています。
VCA Walletを利用すれば、手元のスマートフォンから接客メモの記録や過去のカルテの確認ができます。
特に活用されているのが「お客様写真」機能です。
施術中や接客中でもスマートフォンのアプリでサッと過去の施術写真や顧客情報を確認できるため、前回の仕上がりを踏まえた提案や、一貫性のある接客につながっています。
専用端末を用意する必要がなく、月額3,000円という低コストで導入できる点も、現場に定着している理由のひとつです。
まとめ
美容室の接客は、技術と同じくらい売上とリピートに影響します。接客態度が悪いことで失客する割合は約22%にのぼり、新規リピート率は業界平均で約30%です。
基本フローを整え、カウンセリングの質を高め、アップセル提案を自然な流れで行うことが、売上改善の近道です。
スタッフ教育と電子カルテを活用した情報共有を組み合わせることで、誰が担当しても一貫した接客ができる体制を構築しましょう。

