「美容室の経営で、どこまで経費になるか分からない」
「経費を削減する方法を知りたい」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
美容室経営では、材料費や光熱費、スタッフの人件費など、多くの経費がかかります。
さらに服代・アクセサリー代と、実は経費にできない費用もあります。
この記事では、美容室の具体的な経費・削減する方法・節税の方法など、分かりやすく説明します。
経費を抑えて効率的な経営をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください!
経費とは?

経費は、事業を運営するために必要な費用で、売上から経費を引いた残りが利益です。
美容室の適正経費は30〜40%と言われています。
例えば100万円の売上があれば、経費30〜40万円が適正の範囲です。
- 売上:100万円
- 経費:30〜40万円
- 利益:60〜70万円
「60〜70万円」という利益に対して税金がかかります。
毎年売上と経費を計算して、税務署に対して確定申告を行い、その年に支払う税金が決まります。
まずは美容室の経費金額・内容を把握して、改善できるポイントはないか確認してみましょう。
- 地代家賃
- 人件費
- 水道光熱費
- 通信費
- 消耗品費
- 備品
- 租税公課
- 損害補償料
- 広告宣伝費
地代家賃
美容室を借りて運営する場合、テナント料が最も大きな経費になることが多いです。
毎月かかる固定費なので、最初の物件選びでいかに地代家賃を抑えるかが大切です。
人件費
経営者自身の報酬、スタッフの給料など、人に関わる費用です。社会保険料も人件費に含まれます。
水道光熱費
シャンプーやカラーリング、店舗の照明、ドライヤーの使用などに必要な費用です。
これらを無駄なく使うことでコスト削減が可能です。
通信費
電話やインターネット料金、郵送料などが該当します。
特にネット予約システムや顧客管理システムを使う場合は、これらの費用に含まれることがあります。
消耗品費
カラー剤やパーマ剤、シャンプー、タオルなど、日々使用するアイテムが対象です。
仕入れ先や在庫管理を工夫することで、支出を効率化できます。
備品
デジタルパーマ機器・シャンプー台など、高額で長期間使用する設備が備品に該当します。
これらは減価償却対象となるため、購入時にしっかりと計画を立てることが必要です。
減価償却とは、1年で経費計上するのではなく、数年に分けて経費計上することです。
美容室の備品は5年かけて経費にするため、購入金額の20%を毎年経費にします。
理由としては、備品は1年で使い切るものではなく数年使うため、仮に「5年」として経費計算するからです。
例えば100万円のデジタルパーマ機を購入した場合、その年に100万円の経費計上するのではなく「年20万円×5年分」で経費計上します。
租税公課
固定資産税や事業税などがここに含まれます。ただし、所得税や法人税は経費として計上できないため注意が必要です。
損害保険料
火災や地震などに備える保険料です。これらの保険を適切に設定しておくことで、予期せぬリスクから店舗を守ることができます。
広告宣伝費
チラシやデジタル広告、雑誌掲載費用など、集客に使う経費です。費用対効果を分析しながら、効率的に活用しましょう。
経費・コストを抑えるためには?

美容室の経営を安定させるためには、日々の経費やコストを見直すことが重要です。以下の方法で効率よくコストを削減できます。
材料費を10%以内に抑える
カラー剤やパーマ剤などの材料費は、売上の10%以内が理想です。
もし売上の10%以上を超える場合は、見直してみましょう。現状の材料をどれだけ効果的に使えるのか、余りが出ていないかなどをチェックしてください。
想定の売上に対して10%以内で目標を設定して、発注金額を抑えられるか試してみましょう。
まとめ買いの割引を活用したり、仕入れ先を変えたりと、節約の方法はたくさんあります。
電気・ガスの業者を見直す
店舗での電力やガスの使用量を確認し、より安価なプランを提供する業者に切り替えましょう。
民間の電力会社・ガス会社も増えているため、乗り換えによって費用が抑えられるかもしれません。
電気ガスは毎月かかる費用になるため、一度見直せばコスト削減効果がずっと続きます。
効果の低い宣伝広告を停止する
集客のためにネット広告・チラシなど費用を払っているなら、一度効果を見直してみましょう。
確認せずに続けてしまっている広告などは、思っている以上に効果が出ていないかもしれません。
冷静に「この広告やPRで集客効果が出たか」を分析して、集客効果の低い広告は必要がなければ停止しましょう。
その分、SNSや口コミなどコストのかからない集客方法を活用すると効果的です。
雑誌を電子マガジンに切り替える
従来の紙媒体の雑誌は購入や管理の手間がかかります。
1冊500円の紙雑誌を2冊以上購入しているなら、月500円の電子マガジンに切り替えましょう。
多くの雑誌が読み放題になり、費用削減・管理の手間も楽になります。
紙のカルテを電子化する
紙のカルテは保管スペースを取り、管理コストもかかります。
紙代・印刷代・保管用のファイル代など、意外と費用がかかっているかもしれません。
電子カルテを導入すれば、紙代・印刷代・ファイル代など費用を一気に削減できます。
しかも保管用のスペースが必要ないため、美容室のスペースを有効活用できます。
経費にできないもの

すべての費用を経費として計上できるわけではありません。
経費とは「業務に必要な費用」になるため、業務上の必要性がなければ経費にならないです。
経費にできない支出を経費として計上していると、正しい確定申告ができません。
ここからは「意外と経費にならない支出」を紹介します。
服代
「美容師は見られる仕事だから、オシャレな服を着なければいけない」と思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、仕事のユニフォームは経費になりますが、普段も着る服は経費ではありません。
ロゴ入りの制服や指定の作業着は経費対象となりますが、一般的なファッションアイテムは経費の対象外です。
アクセサリー代
アクセサリー類も業務に直接必要と見なされないため、経費にはできません。
例えば、業務用の道具ではなく、個人的な装飾品は経費対象外となります。
困ったら税理士に相談しよう
「経費や確定申告について税理士に相談した方がいいの?」と思う方もいるでしょう。
結論からいうと、税理士への相談がおすすめです。
なぜなら、知識がない状態で税務手続きを進めてしまうと、ミスが起きるからです。
もし経費にならない支出を間違って経費にしており、税務署からの指摘があると、追加で税金の支払いが発生するかもしれません。
また税理士に相談・依頼すれば、面倒な税務処理を任せられ、税務について疑問があれば相談できます。
税理士への相談料はかかりますが、美容室の経営面・手続きの手間を考えると、依頼した方がメリットが多いでしょう。