「美容室を開業するには、どれぐらいの資金が必要?」
「美容室の開業資金を抑える方法ってある?」
と悩んでいる方も多いでしょう。
結論からいうと、美容室の開業資金は1,000万円程度です。
具体的には物件取得費・内装費・備品費・運転資金がかかり、スタッフを雇う場合はプラスで人件費もかかります。
できれば自己資金を200〜300万円程度貯めておくのが大切ですが、自己資金がない方は補助金の活用も視野に入れましょう。
この記事では、美容室の開業資金・使える補助金・開業で失敗しないポイントを紹介します。
美容室の開業資金は「1,000万円程度」
美容室の開業資金は、店舗の規模・スタッフの人数で異なります。
- ひとりで開業:800~1000万円
- スタッフを雇って開業:1000~1500万円
店舗の規模が大きいと、それだけ設備・備品代も追加でかかります。
またスタッフを雇う際に求人費用、実際に営業を始めると人件費も追加で発生します。
開業費用の内訳

店舗の規模・スタッフの人数によって開業資金は大きく異なりますが、ここからは「開業資金1,000万円程度」を目安に、内訳を紹介します。
- 内装費:500万円
- 物件取得費:200万円
- 美容機器・備品・材料:150万円程度
- 広告宣伝費:20万円
- 運転資金:150万円
内装費:500万円程度
美容室の開業資金でもっとも高いものが、内装費です。
開業資金のうち50%程度は内装費用にかかります。例えば開業資金が1,000万円程度であれば、500万円程度は内装工事に使います。
店舗の天井・床の張り替えから、扉まで細かい箇所の内装工事が必要です。
さらに施術を行うためには、電気・ガス・排水の設備導入もしなければいけません。
物件の取得費:200万程度
美容室を開業するには、新しく物件を借りるケースが多いです。
物件取得費用は開業資金の15〜30%程度といわれています。
美容室用の物件取得にかかる費用は、住居用の物件と変わりません。
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 1ヶ月分の家賃
人気のエリアほど家賃は高くなるため、物件を選ぶときには集客見込みと家賃のバランスを考えながら決めましょう。
美容機器・備品・材料:150万円程度
美容室を開業するためには、美容機器・備品・材料の準備も必要です。
- 美容機器:スタイリングチェア・シャンプー台・パーマ機など
- 材料:シャンプー・トリートメント・カラー剤など
- 備品:洗濯機・レジ・パソコン・ワゴンなど
費用を抑えたい場合は、中古品やアウトレット品を活用するのもおすすめです。
広告宣伝費:20万円
すでに固定のお客様がたくさんいる場合でも、美容室を新規開業したらPRが必要です。
お店のホームページを制作したり、ホットペッパーといった美容ポータルサイトの登録がおすすめです。
また地域のお客様にPRしたい場合は、チラシ制作も有効でしょう。
なるべく費用をかけたくない場合は、無料で使えるSNSを活用する方法もあります。
スタッフを雇う場合は、求人募集を出すための求人費も追加でかかります。
運転資金:150万円
美容室を開業して、軌道に乗せるまで時間がかかるかもしれません。
その間、利益が出なくても耐えられるように、運転資金を準備しておきましょう。
「創業の手引き+」という調査によると「軌道に乗るまで6ヶ月かかった」という美容院が70%と、結果が出ています。
そのため、運転資金を貯めておいた方が安全です。
運転資金は3〜6ヶ月分が目安です。例えば月30万円の固定費がかかるなら、30万円×5ヶ月分=150万円程度です。
運転資金で家賃・水道光熱費・人件費など、毎月かかる固定費をまかないます。
開業資金が足りない場合の対処
「開業資金が1,000万円必要なのは分かったけど、なるべく費用を抑えたい」という方もいるでしょう。
ここからは開業費用を抑える方法・資金の援助を受ける方法を紹介します。
居抜き物件で内装費を抑える
美容室の開業で、もっともお金がかかるのは内装工事です。
そのため内装費用を抑えることが、一番の節約に繋がります。
内装費を抑えたいなら、元々美容室が入っていた居抜き物件を探しましょう。
居抜き物件であれば、ゼロから内装工事する必要がなく、内装費を節約できます。
気になる箇所だけ改修すれば、すぐに営業が始められます。
助成金・補助金の活用
資金が足りない場合は、助成金・補助金の活用もおすすめです。
助成金・補助金は返す必要がなく、開業後の返済を心配しなくてもいいというメリットがあります。
例えば「IT導入補助金」を活用すれば、予約管理・POSシステムの導入などで、補助金が支給されます。
ただし助成金・補助金は条件や金額が大きく異なるため、利用できるかどうかチェックしておきましょう。
融資を受ける
開業資金が足りない場合は、銀行や国から融資を受けるという方法もあります。
融資は「開業するためにお金を借りている」という状態で、返済時には利息も発生します。
美容室開業で融資を受ける場合は、日本政策金融公庫からの融資を狙う場合が多いでしょう。
銀行に比べて利息が低く、無担保・無保証で融資を受けられます。
ただし事業計画書の準備・審査が必要になるので、しっかりとした対策が必要です。
美容室の開業で失敗しないためには

美容室は、1年以内の50〜60%が閉店するといわれています。
美容室の開業・経営で失敗しないための注意点を紹介します。
自己資金の準備
美容室は開業してすぐ軌道に乗るわけではありません。
「創業の手引き+」という調査によると「軌道に乗るまで6ヶ月かかった」という美容院が70%と、結果が出ています。
できれば、6ヶ月は利益が出なくても経営できるような運転資金が必要です。
融資を受けるという方法もありますが、返済が必要ないように自己資金で運転資金分を貯めておきましょう。
より安全に独立するなら、半年分ではなく倍の1年分を準備しておきましょう。
事業・資金計画を立てておく
今まで美容師として働いていた方も、独立開業すれば経営者です。
美容室を経営していくためには、事業計画や資金管理が大切です。
また融資や補助金の審査を受ける場合に、事業計画書を提出する必要があります。
開業前に事業・資金計画書を作成して、経営で失敗しないように準備しておきましょう。
手間がかかる業務を効率化しておく
スタッフを雇わずにひとりで開業したり、スタッフを雇うにしても少人数で進める場合もあるでしょう。
人手不足の状態で業務を円滑に進めるには、手間のかかる業務を効率化しておくのが大切です。
予約を電話で対応するのではなく、ネット予約を中心にしておけば、営業中に何回も電話を取る必要がありません。
またカルテも電子化しておけば、印刷が不要になり、管理や検索も簡単になります。
開業後だと日々の営業で忙しくなるため、開業前に「効率化できるポイントはないか?」と確認しておきましょう。
まとめ
美容室の開業資金は1,000万円程度かかります。
- 内装費:500万円
- 物件取得費:200万円
- 美容機器・備品・材料:150万円程度
- 広告宣伝費:20万円
- 運転資金:150万円
もっともお金がかかるのは内装費で、開業費の50%以上を占めています。
開業時には自己資金を200~300万円程度は準備しておきましょう。
もし資金が足りない場合は、助成金・補助金を活用したり、融資を受けたりする方法もあります。