「美容室の経営理念ってどう決めればいいの…」と悩んでいませんか?
経営理念とは、お店のコンセプトや価値観を明確にして、スタッフやお客様に伝える大切な指針になります。
でも、どこから考えればいいのかわからない…という方も多いはず。
この記事では、美容室の経営理念を考えるポイント・手順を紹介します。
お店の方向性をしっかり固めて、長く愛されるサロンを目指しましょう!
美容室の経営理念とは?
美容室の経営理念とは、「お店の根本的な価値」や「どこに向かっていくのか」を示すものです。
経営者にとってはお店を運営する指針になり、スタッフにとっては「どんな美容室なのか」を理解する基準となります。
また、お客様も店のコンセプトや価値観を知ることで「ここに通いたい」と思うきっかけになります。
- 経営者:「この理念に沿って経営を続ける」
- スタッフ:「お店の方針を理解し、一貫した接客をする」
- お客様:「お店の価値観に共感してリピーターになる」
このように美容室の経営理念は、お店の指針・雰囲気作りなど大きな指針になります。
ミッション・ビジョン・バリューとの違い
経営理念について調べていると「ミッション・ビジョン・バリュー」という言葉が出てきます。
「経営理念とミッション・ビジョン・バリューにどういう違いがあるの?」と思うかもしれません。
具体的には、経営理念の中にミッション・ビジョン・バリューが含まれます。
項目 | 役割 | 例(美容室) |
---|---|---|
経営理念 | お店全体の価値観・方向性 | 「お客様の髪の美しさと健康を守る美容室を目指す」 |
ミッション(使命) | 何のために存在するのか | 「すべてのお客様に、安心して通えるサロン体験を提供する」 |
ビジョン(未来像) | 将来どんな美容室になりたいか | 「地域で一番愛される美容室をつくる」 |
バリュー(価値観) | スタッフが大切にすべき考え方 | 「丁寧なカウンセリング」「最先端の技術の追求」 |
経営理念は大枠であり、その下にミッション・ビジョン・バリューが位置する構造になっています。
ややこしいですが、まずは大枠の経営理念から考えるのがオススメです。
なぜ経営理念が大事なのか

「経営理念の意味は分かったけど、そこまで大切?」と思うかもしれません。
ここからは、経営理念が大切な理由を紹介します。
お店の指針になる
「この美容室はどこを目指しているのか?」が明確でないと、方向性が定まらず、ブレやすくなります。
美容室経営は明確な正解がないなか、自分で判断して方向性を決めなければいけません。
経営理念があると、判断に迷ったときの基準になり、経営方針がぶれずに一貫したお店作りができるようになります。
例えば、「手軽におしゃれを楽しめる美容室」なら、短時間で施術できるメニューを充実させるといった具体的な方針を決められます。
経営理念が明確だと、どんなメニューやサービスを提供するのかが自然と決まり、迷いなく運営できるようになります。
スタッフの業務や採用の基準になる
「スタッフごとに接客の方針が違って、お店の雰囲気がバラバラ…」ということはありませんか?
経営理念がしっかりしていると、スタッフの接客や施術のブレを防ぐことができます。
また、採用時の基準としても役立ち、理念に共感できるスタッフを採用しやすくなるのもメリットです。
例えば、
- 「お客様とのコミュニケーションを大切にする美容室」なら、人柄重視の採用にする
- 「最先端の技術を提供する美容室」なら、技術研修を重視する
お店の経営理念を明確にすることで、スタッフの方向性が統一され、一体感のあるサロン運営ができるようになります。
お客様に伝わる
経営理念はスタッフだけではなく、お客様にも伝わります。
美容室のサイトに経営理念を記載したり、SNSで自分の思いを発信するという方法もあります。
経営理念を発信することで、お客様との信頼関係が深まり、リピーター獲得にもつながります。
ただ経営理念を直接見ていないお客様でも、お店の価値観やコンセプトを感じ取り「この美容室はどういう方針でやっているのか?」を理解してくれるかもしれません。
直接説明はしなくても、店内の空気・スタッフの雰囲気・接客のやり方を見れば、お店のコンセプトは感じられます。
経営理念を作り、お店のこだわりや価値観を明確にすることで、共感したお客様がリピーターになってくれる可能性が高まります。
取引や申請が明確になる
美容室の経営では、企業との取引や補助金・助成金の申請が必要になる場面もあります。
例えば、補助金を申請するとき、事業目的・今後の事業計画を明確に書く必要があります。このとき、経営理念が明確だと、申請書類の作成がスムーズになり、説得力が増します。
また、取引先の企業に対しても、「この美容室はどんなお店なのか?」を説明するときに役立ちます。企業の価値観がしっかりしていると、取引先や業者からの信頼も得やすくなるでしょう。
経営理念の考え方

「経営理念の大切さは分かったけど、どうやって考えればいいの?」と悩んでいるかもしれません。
そのようなときは、いくつかのステップに分けて考えると、スムーズに言語化できます。
3つのステップで考える
いきなり経営理念を決めるのは難しいため、3つのステップで考えてみましょう!
- なぜ美容室を経営するのか?(目的・存在意義)
- どんな美容室でありたいのか?(未来のビジョン)
- どんな価値を提供したいのか?(大切にする価値観)
まず「なぜ美容室を経営するのか?」を考えてみましょう。
何のためにこの美容室を運営しているのか、美容業界でどのような役割を果たしたいのかを明確にします。
目的や存在意義が決まったら「どんな美容室でありたいのか?」を決めます。
具体的には5〜10年後にどんなお店になっていたいのか。お客様やスタッフにとってどんな存在でありたいのかを考えます。
最後に「どんな価値を提供したいのか?」を考えます。
お客様にどのような体験を提供したいのか、サービスのこだわりや、お店のスタンスはなにかを決めます。
このように3つのステップで考えれば、経営理念をスムーズに導き出せます。
シンプルな言葉に置き換える
経営理念を考える際、難しく長い文章にすると、伝わりづらくなります。
シンプルな言葉の方が、スタッフやお客様に理解されやすく、覚えやすいです。
自分の中で経営理念がだいたい固まってきたら、シンプルに言葉に置き換えられないか考えてみましょう!
例えば「地域社会に密着した信頼関係を構築し、継続的に選ばれる美容室を目指す」が経営理念だとすれば「地域で一番愛される」とシンプルに置き換えができます。
「地域で一番愛される」が理念なら、まずは地域の人に利用してもらい、その地域にはどういう美容室が求められているかを考えるという明確な指針ができます。
このようにシンプルな言葉に置き換えることで、お店の理念が伝わりやすくなり、スタッフの行動指針としても浸透しやすくなります。
伝えたい想いを整理しながら、短くわかりやすい表現にしてみましょう。
経営理念の注意点

「せっかく経営理念を考えるなら、失敗したくない」と思うかもしれません。
たしかに経営理念が長すぎたり、スタッフに浸透していなかったり、実現が難しすぎると、形だけのものになってしまいます。
ここでは、経営理念を決める際の注意点を解説します。
- 長すぎて分かりにくい
- スタッフに浸透していない
- 現実とのギャップが大きすぎる
長すぎて分かりにくい
経営理念を丁寧に言葉にしようとすると、つい長くなりがちですが、長すぎる理念は伝わりにくく、覚えにくいため注意が必要です。
例えば「当サロンは、お客様一人ひとりの個性と美しさを最大限に引き出し、技術力の向上と心のこもった接客を通じて、持続可能な美容サービスを提供し、地域社会に貢献することを目的とする」は長くて覚えられません。
これをシンプルにすると「技術と接客で、お客様の魅力を引き出す」になります。
短く、覚えやすい言葉にすることで、スタッフやお客様にも伝わりやすくなります。
スタッフに浸透していない
経営理念が立派でも、スタッフが意識せず、行動に落とし込めていなければ意味がありません。
例えば、「お客様一人ひとりに合った提案をする」という理念があっても、スタッフが毎回同じ施術を提供していたら、理念が機能しているとは言えません。
理念を浸透させるためには、下記のような対策がオススメです。
- スタッフ向けに理念をシンプルに説明する
- スタッフミーティングで理念を具体的な行動につなげる
- 新人研修やマニュアルにも理念を反映する
理念を実際の業務に活かせるよう、日々の行動につなげる仕組みを作ることが大切です。
現実とのギャップが大きすぎる
「立派な経営理念があるけど、普段のサロン運営と全然違う」というケースもあります。
理念は大きな目標でもいいですが、あまりにも現実味がないと、スタッフもついていけません。
例えば「日本全国に展開し、業界No.1の美容室チェーンを目指す」が理念や目標だったとしても、現実的にはなかなか難しいかもしれません。
「地域で一番信頼される美容室を目指す」といった変えることで、まずは地元での認知度を上げることからスタートし、徐々に拡大を目指すという現実的なステップに着地できます。
大きな理想を持つことは大切ですが、現実とのバランスをとりながら、無理のないステップで進めることも重要です。
まとめ
美容室の経営理念は、お店のコンセプトや価値観を明確にし、スタッフやお客様に伝える指針となるものです。
経営者にとってはブレない経営の軸となり、スタッフには接客や業務の基準、お客様には共感を生む要素になります。
経営理念があるメリットは下記の4つです。
- お店の方向性が明確になる
- スタッフの接客・採用基準が統一される
- お客様の共感を得てリピーター獲得につながる
- 取引や補助金申請時に信頼性が増す
もし経営理念がなかなか浮かばなければ、下記の3つのステップから考えてみましょう!
- なぜ経営するのか?(目的・存在意義)
- どんな美容室でありたいか?(未来のビジョン)
- どんな価値を提供するか?(大切にする価値観)
経営理念を作るときには、下記のポイントにも注意してください。
- 長すぎて分かりにくい
- スタッフに浸透していない
- 現実とのギャップが大きすぎる
経営理念を考えるのは大変かもしれませんが、お店の方針を決める重要な要素です。
この記事で紹介した手順に従って、自分が納得のいく経営理念をぜひ見つけてみてください!